父親方の実家が三重県の浜島町という所にあります。
志摩の方なのですが(スペイン村の方)古くからの漁師町で
とてものんびりした良いところです。
子供の頃から夏はそこで過ごすのが山本家の風習でした。
家々の軒先からカーテン越しに見える盆提灯のブルーの灯り。
迎え火、送り火。
印象深いものに盆踊りがあります。
浜辺でヤグラを組んで老いも若きも同じ旋律で同じ踊りを続けます。
〜音頭とかナシで割と日本語じゃないような歌詞なんですよね。
そうするとかがり火に照らされて踊る人の陰がボワーと浜辺中に伸びて
幻想的でありながらも少し怖いような心境になっていったのを憶えています。
同じ踊りを延々と繰り返すうち一種のトランス状態になり
誰も言葉を発せず淡々と踊る様はシャーマニズム的というか呪術的な印象さえ受けました。
踊る人の陰とかがり火、そしてその先に広がる漆黒の闇。夜空と渚の境は無く
それがまるでこの世があの世に浸食されてゆくような錯覚をうけます。山本にとって盆踊りは
現代社会にありながらも田舎特有の日本の風土を感じる事が出来る貴重な体験なのです。
そう言えばじいさんが死んだときお寺に遺体を運ぶ道すがら小銭をまき
それを子供達がひろう。拾ったお金はその日のうちに使い切らなければならない
そんな風習もありました。
自然現象や霊魂の存在を恐れながらも敬い慕う日本人古来の心の琴線にふれることができるのが
田舎の習わしや風習だと思います。
それらには見えないものに対しての日本人特有の敬意のようなものを感じるのです。
子供の頃に見たあの不思議な風景は何だったのだろう。
今年の夏はそんな記憶をたどる夏にしてみてもいいかもね。
だいたいシミーズ姿の婆さんがスイカ食べながら野球見てる。