山本の愚かな休日 後編 釣りと罰

諦めの早さには幼い頃より定評があった。

掘っても掘っても小判はおろかタイヤがその姿をあらわにすることはなく

すなわち板を挟む空間をそこに作る事はできませんでした。

サラサラの砂浜、素手で深く掘るってすっごく大変!

よって無理!

残りの水分、ペットボトルのお茶5分の1。

しゃーねえ、助け呼ぶかあ〜〜。

保険のロードサービスがたしかタダできてくれるんだっけな。

オペレーターに繋ぎ業者からの折り返しの電話を待つ。

夕日がとても綺麗だ。

ようやく電話がかかって来た。

☆現在地の地名分かりますか?

分からない。

☆住所わかりますか?

分からない。

師曰く迷子の迷子の子猫ちゃんなのでありました。

☆ちなみにこちらのサービス砂浜でのスタックは対応できないんですよ。

(怒)はよ言えーーー!!!

気がつけば携帯の充電あとわずか!!!

砂浜見渡す限り誰もおらず!

沈む夕日に山々の稜線が美しい〜〜〜〜。

お茶もさっき美味しく頂きました。全部ね。

 

 

沈黙、、、。

 

寄せては返す

 

波の音、、、。

 

ピンピコリ〜〜ん

はっちゃけた!!

 

JAFがあるじゃん!!!

震える指でスマホを操作。

怯える声で状況を相談。

明るい声で落ち着けとお兄さん。

トントン拍子で進む商談。

PUT YOUR HAND’S UP!YEAR!!

 

待つ事30分。

爽やかお兄さん登場です。

「お待たせ!!」

おいおい吊り橋効果かよ。

この不安のどん底からのセーフティースマイルは

もしおじさんがおばさんだったら惚れてますよ。

「あっ、お客さんずいぶんと掘りましたね」

あ〜〜も〜〜それはそれは、惚れ、いや掘りましたよ〜〜。

おもむろにウインチを取り出し

車に接続して砂浜から引き上げる作業を呆然とみつめながら

あ〜〜〜俺は魚を釣りにきて車をつられてんだなぁ〜〜〜ぶひゃひゃひゃ〜〜〜(笑)!!

あれ?今にして思えばぜんぜん面白くもないわ、この件。

陽もとっぷり暮れ夜空には星が、、。

作業も無事終わりお金も支払い帰路につく。

手のひらは相変わらず砂まみれだ。

自粛、自粛の毎日の中

この釣りは罪なのか、そして今日の出来事は、はたして罰なのか。

 

いや、いまは無事帰って来れた事に感謝しよう。

連なる車の赤く光るバックランプを見ながらそう思ったのでした。